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大学のゼミ内でのアカデミックハラスメントの類の相談がよく寄せられています

今晩のNHK「オトナヘノベル」で、学校内のセクハラが取り上げられていました。

セクハラよりもアカデミックハラスメントの相談が多い

ちなみに当カウンセリングルームへの大学生の方の相談で多いのはセクハラよりもパワハラの類です。
アカデミックハラスメントと呼ばれるそうです)
しかもそのほとんどはゼミという他部署からの目が届きづらい密室の空間で生じています。
また相談に見える方のほとんどは、パワハラの概念をまったくご存じありません。
ですから個人的には、対策が急がれるのは、広くその概念が知られるようになってきたセクハラよりも、講師がその地位や力関係を利用して行うアカデミックハラスメントの方だと思われます。

なお相談事例のほとんどは、恐らく無自覚なものも多いのでしょうが、講師が自らの自尊心を満足させるために生徒を利用し、それに対して学生が評価される立場から引け目を感じ辛くても我慢し続けるというものです。

アカデミックハラスメントは無自覚である場合も多いのでハラスメントとは簡単には断定できない

ところがこうした事例が厄介なのは講師が無自覚である点です。
つまり嫌がらせには該当しないということです。

さらに同じく無自覚であるがゆえに、何かを強制されているわけではなく、しかし学生の側からすれば同時に断りづらさを確実に感じているため結局はノーと言えず従うことになります。

これらのことは例えばNPO法人NAAHの「アカデミックハラスメントとは?」の定義に照らし合わせてみても、どの項目にも明確には当たらないように思えます。
アカデミックハラスメントとは断定できない、しかし学生は強制されてはいないが、しかし断ることがとても難しい事態に直面し苦しみ続ける…これが実情です。

講師は自らの優位性を自覚するべき

こうした暗黙のアカデミックハラスメントが生じてしまう一因は、講師と学生との間に必然的に生じる力の不均衡への無自覚です。

この不均衡は教える者と教わる者、評価する者とされる者という立場の違いから避けようがありません。
ですから講師の方がたとえ対等の感覚で接しているつもりでも、実際には支配-従属関係が生じてしまいます。

このような事情から講師の方は、ご自身が対等あるいは健全で心地良いと感じる関係が、学生の側からすれば支配-従属関係のような圧力を感じている可能性を常に留意する必要があると思われます。
(このことは組織のリーダーや援助職にも等しく当てはまることです)

最後にこれらことが起きる一因には、しばしば批判されるように、小中高の教師(教諭)と違い、大学の講師には公的な研修制度が存在せず、基本的に講師任せである点にもあるように思えます。

またゼミ内で生じやすいという点も、その閉じられた空間内においてトップに君臨する立場にあること、および外部の目が気にならなくなること、さらに長く時間を共にすることで一種の甘えが生じ、表向きの関係は講師と学生でも情緒的なレベルでは仲間、それも権力の不均衡を伴う仲間関係という奇妙な関係がもたらす弊害ゆえのことではないかと思われます。

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