自己愛性人格とは?
自己愛性人格とは、例えば「パーソナリティ障害の診断と治療」によると「外*から肯定されることによる自尊心の維持をめぐってパーソナリティが構成されている人々」のことを表す精神分析の用語です。
そして、この定義には次の2つの意味が含まれています。
1. 脆弱で揺らぎやすい自尊心
2. その脆弱な自尊心は、もっぱら他者から肯定的に評価されることよってのみ維持される。
したがって自己愛性人格および自己愛性人格障害の人々は、常に他人や世間の評価に影響されやすい状態にあるといえます。
具体的には、肯定的な評価を得られた時は過剰な自信に満ちて尊大な態度に、そうでない場合は自信を喪失し抑うつ状態に、と心の状態が二極分化しがちになります(障害が重度になるほど、分化も激しくなります)。
*自分以外のあらゆる存在で、他人のみならず世間一般の常識・価値観なども含まれます。
一般的な自己愛性人格障害のイメージ:
ところが一般的に知られている自己愛性人格(障害)のイメージは、たとえばDSM-4*の自己愛性人格障害の定義のように自己愛性人格の尊大な態度のみに焦点が当てられ、自尊心が満たされなかった時に生じる抑うつ状態については何も触れられていません**。
そのため私のように、どちらかといえば抑うつ状態に陥ることの多いような自己愛性人格の者には、まるで別の人格タイプの説明にすら思えます。
*DSM-4における自己愛性人格障害の具体的な診断基準は「精神疾患の分類と診断の手引」などをご参照ください。
**これは(あくまで推測ですが)オウム真理教の事件などに見られるように、自己愛性人格障害のうち尊大な態度から引き起こされる行動の方が社会的損失が大きいことが影響しているのかもしれません(精神分析家の診断によると、麻原彰晃は重度の自己愛性人格障害だそうです)。
このブログにおける自己愛性人格(障害):
このブログにおける自己愛性人格(障害)は最初の精神分析による自己愛性人格の定義にしたがっています。
しかし実際には私自身が尊大な態度(自尊心が過剰に満たされた状態)に移行する機会が少ないため、もっぱら抑うつ状態の自己愛性人格(障害)の描写に偏ってしまっていることは否めません。何卒ご容赦ください。
※人格障害の定義についてもご一読ください。