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世の中のほとんどの心理療法は、フロイトが創始した精神分析から派生したもの

本日5月6日はフロイトの生誕160周年に当たる日

グーグルのトップページのロゴで知りましたが、本日5月6日(金)はフロイトの生誕160周年に当たる日だそうです。
フロイトと言えば精神分析の創始者ですが、その精神分析について少し書かせていただきます。

心理学史の本などを読んでいますと、フロイトが創始した精神分析から心理療法の歴史が始まった旨の説明をよく目にします。
もちろんこの話は心理療法の定義にもよります。例えばフロイトも教わっていました催眠療法を心理療法の始まりと考えることもできそうなためです。
ですが、それでも「精神分析から心理療法の歴史が始まった」旨の共通理解が得られているのには、その後新しく生まれた心理療法への影響力の大きさゆえのことだと考えられます。

著名な心理療法家の多くが精神分析と深い接点を持っている

心理療法家の間でも、あまり知られていないことのようですが、今日知られている主要な心理療法の多くが精神分析と深い接点を持っています。
例えばユングやアドラー、カウンセリングの神様とも称されるクライエント中心療法の創始者のロジャーズ、日本でも保険適用されるようになった認知療法を創始したベック、『愛するということ』の著者のフロム、西洋におけるボディーワークの基礎を作ったライヒなどなど、非常に多くの著名な心理療法家がフロイトの弟子だったり、あるいは元々は精神分析を研究・実践していた人々です。

ところがフロイトが非常に権威主義的な人で、自分の考えに同意しない人をことごとく破門にしていったため、離反した人々によって非常に多くの心理療法が生まれることになりました。
これは少々極端な発想ですが、もしフロイトがもっと寛容な人であれば、精神分析は考え方の異なる非常に多くの学派によって構成される巨大な組織となり、心理療法という概念すら生まれなかったかもしれません。

それほど20世紀初頭のヨーロッパでは精神分析が精神医学会において絶大な地位を占め、またこのような寡占状態が1960年代頃まで続いたことも、冒頭で述べた歴史観に少なからず影響しているように思えます。

(詳しくは別の機会に譲りますが)今では精神分析家の間でさえフロイトの理論(「欲動論」「古典派」などと呼ばれます)を忠実に実践している人は一人もいないと言われるほど時代遅れのものとなってしまいましたが、それでも彼の築いた理論体系の批判的検討から、その後の主要な心理療法が生まれて行ったことを考えれば、彼の先駆者としての功績への評価はこれからも変わることはないでしょう。

追伸)哲学や芸術に与えた影響力も絶大

またこれは写真家として活動し始めてから知ったことですが、哲学や芸術の専門書、特に後者を読んでいると(今日の精神分析理論ではなく)フロイトの理論が至るところで援用されています。
ですから心理療法の世界ではすっかり時代遅れとなってしまったフロイトの理論も、これらの分野では今でも絶大な影響力を保っているようです。

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