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主体性の有無が個人の心理に与える影響を考察する記事。7ページ目では社交関係、つまり人付き合いの特徴を取り上げます。

主体性が乏しい人にとって人付き合いは、自分が評価に晒される場になりがち

4ページ目に詳しく書きましたように、主体性が乏しい人は、それが高い人と比べて、自尊感情の充足を他人からの(存在価値の)承認に頼る傾向が強いため、他人からどのように思われているのかに心を奪われがちになり、このため他人の態度に一喜一憂するなどして心が不安定になりがちです。

と同時に、他人から自分の存在価値を与えられるということは、それに相応しい人間であるかどうか評価されているとの感覚を抱きがちにもなります。

このため主体性が乏しい人にとって人付き合いという行為は、自分が評価に晒される性質が強くなってしまい、これは決して心地良い状態ではありません。
むしろ常に不安と緊張を伴うようになってしまうことも起こり得ます。

これは仮にある人から肯定的な評価が得られたとしても、今後の自分の態度次第でいつ評価が一変するか分からないため、そのような(予期)不安を抱く人にとって人付き合いとは、終わりのない気遣いの連続となり兼ねません。

主体性が乏しい人は対人恐怖の強さから「人見知り」の状態に陥りがち

前述のような事情から、主体性が乏しい人の人付き合いは、得てして不安と緊張が付きものとなり、その結果対人恐怖症的な症状に悩まされることも少なくありません。

このため主体性が乏しい人の人付き合いでは、相手の反応の予測ができるか否かが非常に重要となり、その結果成人してもなお人見知りのような状態が続く人も少なくありません。

つまり表情などから相手の心のうちを推測するのにも限界があるため、初対面の人に対しては不安や恐れから緊張して会話もままならず、その一方で家族や親友など長年の付き合いから相手がどのような人でどのような反応を示すのかある程度予測できるような人との間柄では、安心して自分を出せるというものです。

主体性が高い人は対人恐怖がそれほど強くならない

一方、主体性が高い人は、こちらも4ページ目に詳しく書きましたように、自分の考えや判断力に自信を持ち、そのことで自尊感情がある程度満たされるため、自分の存在価値を常に他人から認めてもらう必要がありません。
このため他人の反応に対する不安も、主体性が乏しい人ほど強くはありません。

以上のような違いから、もし両タイプの人が何かのきっかけで出会った場合、主体性が乏しい人は、まだ相手が信用できる人物か否かが確かめられる前から気さくに話している主体性が高い人の態度が、無謀で信じ難いものに思えるでしょう。
(人によっては羨ましさを感じるかもしれません)

一方の主体性が高い人は、何か怪しげな兆候が見られる前から相手に対して恐れを抱き緊張して固まっている主体性が乏しい人の様子を不思議に思うことでしょう。

対人依存を加味した考察

最後に今回の考察と3ページ目の対人依存の考察とを併せて考えますと、主体性が乏しい人は人見知りの反面、一旦相手を信用すると、その相手を理想化して依存に近いような非常に親密な感情を寄せがちなのに対して、主体性が高い人の人間関係はもっと広く浅い性質のものになるのではないかと考えられます。

またその関係が恋愛関係のようなものであれば、主体性が乏しい人は、主体性が高い人の態度に、冷たさや他人行儀なよそよそしさ、距離を置かれている感覚などを感じるのに対して、主体性が高い人は、主体性が乏しい人の態度を重たいと感じるかもしれません。

次のページでは、これまでの内容とは異なり、主体性が乏しい人の方が社会的なメリットを得られる点について紹介する予定です。

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