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主体性が高い人と乏しい人との主な違いの3つ目は依存理想化に関することです。

主体性が乏しい人は、自分に代わって人生の舵取りをしてくれる人を求める

1ページ目にも書きましたように、主体性が乏しい人は自分で物事を考えることを苦痛に感じるため、些細なことも含めて物事の判断を極力自分以外の誰かや何かに委ねる傾向があります。

このこと自体すでに多くの場面で他人や何か(例えば各種の占い)を当てにしながら生きることになるため、平均以上にそれらへの依存が生じることになりますが、主体性が乏しい人はそれに加えて多くの場合、その依存対象を過度に理想化する傾向もあります。

なぜなら依存対象に依存する理由は、自分に代わって自分に関わる事柄を的確に判断してもらうためですから、その対象の判断力が頼りないと、その判断に頼り切っている自分が不幸な人生を送る羽目になってしまうためです。
このため、できるだけ幸せな人生を送りたいと願えば、判断を委ねる存在には、できるだけ完璧な判断力を身につけてもらわねばならなくなります。

またここでの完璧さは、特定の分野に限定されるものでは不十分です。なぜなら仮に分野ごとの完璧なスペシャリストを得ることができたとしても、その状態ではどの事柄をどのスペシャリストの判断に委ねるのかを自分自身で判断しなけばならない局面が生じてしまうためです。

したがって主体性が乏しい人にとって理想の依存対象は、あらゆることに精通しその都度的確な判断をしてくれる存在か、それが叶わなければ必要に応じてそれらの頼れる存在を的確に示してくれる案内役のような存在です。

例えば親の敷いたレールを歩むような人生は、少なくても心理職の間では子供を不幸にするとの考えが一般的でしょうが、子供に主体性が乏しいと、そのような親の関わりにむしろ安心感を感じることになります。
例えそれが充実した人生とは言えないとしてもです。

主体性が乏しい人は物事を属性で判断する

もっとも主体性が乏しい人は判断力をまったく使わないわけではありません。
ただしその使い方は、後述する主体性が高い人とは大きく異なります。

主体性が乏しい人は物事を内容ではなく属性で判断する傾向があり、具体的には次のような判断の仕方をします。
・この人は信頼できるので、この人の言うことは何でも正しい
・この人は自信満々な話ぶりなので、それはきっと正しいことを言っているからに違いない
・この人は本音で話すので、決してウソをつくことなく、すべて本当のことに違いない

この判断の仕方の特徴をよく示しているのがトランプ政権の支持率です。
通常、政権の支持率は打ち出す政策やその結果などの影響を受けてそれなりに変動するものですが、トランプ政権の支持率は概ね40%台を保っています。
これはトランプ氏の熱烈な支持者の存在がその要因と分析されているようですが、この現象は就任時には80%もの支持率を誇ったフランスのマクロン政権が、現在は20%にまで低下してしまっているのと非常に対象的です。

以上のように理想化された存在の言説のみを盲目的に信じ、反対にそれ以外の理想化されていない人々の言説にはまったく価値を置かないというのが、主体性が乏しい人の典型的な価値判断のスタイルです。
このように分かりやすく分類することで、多様な言説が飛び交う世界で混乱することを回避しているのではないかと考えられます。
その意味で、その人なりの適応の努力の結果とも言えます。

主体性が高い人の理想化の特徴

続いて主体性が高い人の価値判断の特徴です。
主体性が高い人も、誰かや何かを(程度は大きく異なりますが)理想視することはあります。
しかしその場合でも、その理想化された対象の言説を全面的に信頼することはまずなく、自分の信念体系にそぐわないことに関しては違和感を感じます。

したがって主体性が高い人の理想化対象に対する典型的な印象は、この人の言うことは何でも正しいではなく、この人の言うことは参考になることが多いというものになります。
これは自分で物事を考える癖がついているため、相手の話を聞きながら無自覚に自分の考えを巡らせ始めてしまうためです。
(そのため相手の話が上の空になってしまいがちというデメリットもあります)

次のページでは今回の内容と付随したこととして、承認欲求の強さについて比較します。

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