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主体性が高い人と乏しい人との主な違い。4ページ目では承認欲求の強さの違いについて比較検討します。

承認欲求・自尊心(自尊感情)とは

まず簡単に承認欲求について定義しておきます。
承認欲求とは、自分が価値ある人間であることを、何らかの形で他者から認めてもらいたいと願う欲求のことです。

また自分が価値ある人間と思えること自体は、自尊心あるいは自尊感情と呼ばれています。

主体性が高い人は承認欲求はそれほど強くない

これまでのページで書いて来ましたように、主体性が高い人は自ら物事を考え、かつそのような自分を有能な人間と感じるというように、自らの力で自尊心を高めることがある程度は可能です。
したがって他人から自分の価値を認められたり褒められたりすること自体嬉しくはあっても、それなしでは辛くて生きていけないほど切望している訳ではありません。

主体性が高い人でも自信を失っている時には承認欲求が強くなる

ただし主体性が高い人でも、何か大きな失敗をしてしまい自分の能力にすっかり自信を失ってしまっている時などは、自らの力で自尊心を高めることもできなくなってしまいますので、このような時は例外的に承認欲求が強くなります。

しかし一度その欲求が満たされ自尊心が回復すると、同時に自信も回復して来ますので、いつまでも他人から自分の価値を認められたり褒められたりすることを切望し続ける訳ではありません。

主体性が乏しい人は自尊心を高めるために常に他者からの承認を求めている

一方の主体性が乏しい人は、こちらもこれまでのページで書いて来ましたように、物事を自分で考えたり判断したりすることを苦痛と感じるがゆえ常にそれを他者に委ねているため、主体性が高い人のように自らの力で自尊心を高めることが困難です。

このため主体性が乏しい人は、物事の判断のみならず自尊心を高めることについても、恒常的に他者の力を借りざるを得なくなります。
そしてこの主要な手段の表れが承認欲求の充足です。

賞賛欲求は、より貪欲な承認欲求と言える

また主体性が乏しい人の自尊心の低下が著しいと、それをカバーするための承認欲求もより強いものとなり、その頻度や要求度が高まっていきます。
そして前者の表れが3ページ目に記述した対人依存であり、後者は賞賛欲求という形で表出されます。

自己愛性パーソナリティ障害の人は、むしろ自尊心が非常に低い

余談ですが、自己愛性パーソナリティ障害の診断基準の1つに「過剰な賛美を求める」という項目があり、これが賞賛欲求に該当します。
ですから自己愛性パーソナリティ障害に該当するような人は、見た目がどれほど自惚れが強く自信満々に見えたとしても、その内面はむしろ自尊心が非常に低いと言えます。

そのような時に私たちが見ているのは、誇大妄想的な心の働きによって偽装(防衛)された偽りの姿に過ぎないのです。
また絶え間ない賞賛欲求は、堪え難い自尊心の低さから逃れるための必死の方策とも言えます。

社会における承認欲求の高まりは、主体性が乏しい人の増加を示唆している

また数年前から子育てや社員教育において、とにかく褒めることが奨励されるようになって来ているような印象を受けますが、これまでの話を考慮しますとそれは社会における承認欲求の高まりを意味し、さらにこのことは個人レベルでは主体性が乏しい人の増加を示唆しているのではないかと考えられます。

社員の承認欲求を積極的に満たす人事管理の手法が功を奏するのは、主に主体性が乏しい人に対して

加えてそれ以前より人事管理の手法の1つとして、社員の承認欲求を積極的に満たすことが盛んに行われていますが、こちらもこれまでの話を考慮しますと、それが高い効果を示すのは主体性が乏しい人であって、主体性が高い人に対して同じアプローチをしても思ったほど効果が上がらない可能性があります。

恐らく主体性が高い人に対してより高い効果が見込めるのは、2ページ目にも書きましたように自由度つまり裁量の余地を最大限に高めることではないかと考えられます。
(ただし主体性が高い人でも、仕事で失敗した時には例外的に承認欲求が高まることも考慮する必要があります)

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